【日傘の選び方】完全遮光の不都合な真実

私は仕事で傘に関わることが多いのですが、傘ってほとんどの人が使うアイテムなのに、意外と知られていないことが多いなって思うんです。なので本日は傘、特に日傘について語りたいと思います。


完全遮光の傘は凄いという誤解


日傘の購入を検討している大体の人が目にするであろう言葉「遮光」。遮光率99%以上とか99.99%以上なんて表現がパッケージに記載されています。その中で時々、「完全遮光」、「遮光率100%」といった表現を見つけることがあるんじゃないでしょうか。


「完全」とか「100%」と言われたらこりゃ凄い!って思いますよね。でも、私からすると「ふーん」くらいにしか思いません。


それはなぜか?単純にそこまで凄いと思わないからです。


その理由を話す前に傘には「日本洋傘振興協議会(通称JUPA)」という業界団体が存在することから説明していきましょう。

一体どんな団体かと言いますと、HPにはこのように説明されています。


日本洋傘振興協議会(Japan Umbrella Promotion Association = JUPA)は、全国の洋傘製造業者有志により、1963年3月に設立されてから既に50年を超える歴史のある団体です。その間、会員企業は洋傘の品質向上 と安全性の確立はもとより、常にファッショントレンドの研究や機能性の向上を追求し、より高付加価値製品の開発に努力いたしております。
また当協議会では、独自にJUPA(ジュパ)基準を設定し、会員の洋傘の品質・信頼・安心の証として、JUPAマークを添付しています。


2021年7月現在、40社が加盟している大きな団体です。とはいえ有志団体、加盟が必須というわけではないんです。で、結構大手のメーカーが非加盟だったりします。(←ここポイントです)

で、日本洋傘振興協議会(以下、JUPAと呼びます)はJIS企画試験に基づき基準を設定しています。遮光についてもこのような基準があるんです。


遮光率が99%以上の生地を使用した商品を遮光傘、99.99%以上の生地を使用したものを1級遮光率と呼び、一部の商品を除き、どちらも商品ラベルやタグ等に、その呼称や遮光マークを表示することになりました。


簡単に言うと「100%という表現は使いません」ってことです。いくら生地の検査で遮光率100%という数値が出たとしても、傘の状態にしたときに縫製部分から光は漏れてくることもあるし、地面からの照り返しもある。もっといえば傘の形状によっても実際の遮光率は変わってしまう、だから完全表現は使わない、そういう考え方なんです。


一方、JUPAに加盟していないメーカーの中には、遮光試験で生地が100%取れているので「完全遮光」「遮光率100%」と謳うメーカーが存在ます。そしてここ数年増えているのが現状です。まぁ、これも嘘ではないんで…とはいえ、あくまで「生地の数値」ですのでご注意を。(←ここ2番目のポイントです)

2点のポイントをまとめると以下になります。


①業界団体に加盟の有無で考え方が異なる
②遮光率は生地の数値


おわかりいただけたでしょうか?これが完全遮光の真実でした。


それぞれの言い分があるって話ですが、購入を検討している立場からすると誤解を生みやすいですよね。せめて間をとって「遮光率99.99%(遮光率100%生地使用)」とかにしてくれたらなぁ…と思うのです。

ちなみに、生地の検査で遮光率100%を出すのが難しいかといわれると、最近はコーティングやラミネートの技術が進歩しているので、そんなに難しくないです。真面目に傘作っているメーカーなら作れます。


遮光率99.99%以上は「プロ日傘としてのライセンス」みたいなイメージです。わかりにくいか笑


遮光が気になる方は、この話を頭の片隅に置いていただいて、店頭でいくつか開いて比較してみてください。やっぱり日傘としては透けない傘が良いと思うので、数値にとらわれすぎず、ご自身の目でチェックしてもらうのが一番良いのかなって思います。

というわけで、今回は傘について語ってみました。また気が向いたら傘やレイングッズについてお伝えしていきたいと思います。

スーツケースの伝道師の巣

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