【前編】スーツケースの伝道師×もやぴ 真夏の国分寺でもやもや散歩

どうも、三度の飯よりスーツケース!スーツケースの伝道師さとです。2021年夏、相変わらず旅に行きにくい日々が続いてフラストレーションが溜まるばかり…そんな私のもとに謎のメッセージが届きました。

「もやもやを抱えてるキミ、もやっとしているならばここへ来るべし!きっと満足できることでしょう。 もやぴ編集人シュガーK」


うーむ…これはいったい。でもなんだか楽しいことが起こりそうな予感!早速指定された場所へ行ってみました〜。


もやもやは解消するものではなく育てるもの?

オシャレなカフェに舞い上がるスーツケース。


やってきました西国分寺駅。指定された場所は駅近くにあるカフェ「クルミドコーヒー」。あら、趣のあるオシャレカフェじゃあないですか。相棒のスーツケースもテンション上がってます!これは記念写真撮っておかねば…。


「伝道師〜!さとさーん!ようこそ国分寺へ〜。」


でた。私を呼び出したシュガーKだ。ん?もう一人いるぞ??

本名が佐藤さんであろうことがむき出しのシュガーK&シュガー。


伝道師:シュガーK!言う通り国分寺まで来ましたよ!!本当に私のもやもやが解消されるんでしょうね!?


シュガーK(もやぴ):ちょっと落ち着いてくださいよ~。ただでさえ気温が30度以上あるのに余計暑く感じますよ。ま、とりあえずくるみでも食べて落ち着いて。それにね、もやもやは解消するものじゃなくて育てていくものですからね。


伝道師:もやもやは育てていくもの?ちょっとよくわからんです。それと始めから気になってたんですけど、「もやぴ」ってなんですか?


シュガーK:もやぴっていうのはですね、もやもやピープルの造語で、多摩エリアでもやもやを創造の種にして新しいことにチャレンジしているクリエイターの集まりです。で、そんな我々から見るとスーツケースの伝道師はもやもやが体全体からあふれ出ていたので、ここに来てもらえたら一緒にもやもやを育てていけるんじゃないかと思ったんですよ。

もやぴが気になってもやもやして先に進めない方はこちらへ


伝道師:もやもやを創造の種に…。わかったようなわからんような…しかし面白そうだ!どんどん巨木に育てていきましょう!!で、一体なにをすればいいんですか?あと、一緒にいるこちらの方は?


シュガー(地域と映像):はじめましてシュガーです。もやぴの映像制作をしています。今日は西国分寺駅から国分寺駅までを散策して、伝道師にもその魅力に気づいてもらいたいなと思っています。


伝道師:なるほど、マイクロツーリズムじゃないですか!それなら大好物ですよ。早くもテンション上がってきて気温にマッチしてきました!ではよろしくお願いします!!


シュガーK&シュガー:よろしくお願いします。(テンション高いなぁ…。)


国分寺好きは惹かれあう


シュガーK:国分寺市は、奈良時代に聖武天皇が仏教で国を安定させようとして建立を命じた国分寺の史跡の他にも、古くは旧石器時代からの遺跡が残っている街なんですが、駅周辺は商業施設も多くて、交通の便も良いし、生活しやすい街なんですよ。武蔵国分寺陸橋からは中央線も良く見えますよ。


伝道師:新宿から中央線で30分弱で来れますしね。おや?誰か陸橋で写真を撮っている人がいますね。何が撮れるんでしょう?


シュガーK:あっ、あの人は…。


伝道師:こんにちはー!なにやってるんですかー?


???:あっ、こんにちは。今日みたいな天気の良い日はスカイツリーが良く見えるんで写真を撮ってたんですよ。おや?国分寺では見ない顔ですね、今日は観光ですか?


伝道師:えっ…観光ですけど、国分寺では見ない顔ってどういうこと?失礼ですけど、もの凄く只者じゃないオーラを感じるんですけど、あなた何者ですか?


???:ツナギビトの杉田と申します。国分寺市を拠点にして飲食店を経営したり、長野県の下條村でお米農家をやったり、とにかく地域に関わることを手広くやって「ヒト・モノ・コト」を繋いでいる人間です。国分寺散策なら私も同行しましょう!


伝道師:ツナギビト…こんな人に出会えるなんてこれは凄い!ぜひ一緒に行きましょう!

ツナギビトってなんぞや?ともやもやする方はこちらへ

肩書きが渋滞しているツナギビト杉田さん。

一直線に伸びる中央線の先にはスカイツリーが見える。


ツナギビト杉田さんを仲間に加え、武蔵国分寺陸橋から徒歩4分ほど歩くと何やら不思議なものが展示されていました。

伝道師:なんですかこの坂?大昔のザウス(SSAWS)ですか??※

※ザウス:かつて千葉県船橋市に存在した世界最大級(当時)の屋内スキー場。


ツナギビト杉田:湾岸スキーヤーですね…って例え古っ!!


???:ここは東山道遺構再生展示といいまして、およそ1300年前に作られた道路の造成面を型取りして復元したものになります。中央に向かってやや窪んでいる面は、急坂の傾斜を緩くするために、切り通し状に堀込んだもので、真ん中の不整形な窪みは土砂を突き固めて道路を強化した痕跡と考えられています。


伝道師:また誰か現れた!あなたは一体?


???:私は国分寺市観光協会、学芸員の増井と申します。国分寺の歴史に興味があるようでしたら私が案内しましょう。

国分寺市観光協会 学芸員の増井さん。マスクの色はシャツとコーディネートするタイプ。


伝道師:えっ、また凄い人が仲間に…。って、これ絶対仕込んでますよね?


シュガーK:まぁ細かいことはいいじゃないですか。最強のメンツが揃ったところで、思いっきり国分寺散策を楽しんじゃいましょ!

???:おーーーーい!


伝道師:えぇっ…また誰か来た。


シュガーK:いや、もう誰も仕込んでないですよ?


伝道師:(仕込んでって言っちゃってるし)


???:市議会議員の小坂まさ代です。もやぴの皆さんが面白いことしてるって聞いたのでのぞきに来ました。暑いですが頑張ってください!


???:もとまち公民館の石田です。熱中症にならないよう、水分しっかり取ってくださいね。これ、差し入れです!

本当に仕込みなしで応援にかけつけてくれたお二人。

石田さんから武蔵国分寺記念ピンズをいただきました。


小坂さん&石田さん:もやぴ、頑張れ~!


伝道師:ちょっとなにこれ。優しさが涙腺を刺激してきて、熱中症よりも先に水分なくなりそうなんですけど。


天平の扉が開かれる

学芸員増井:この東山道というのは7世紀後半から8世紀前半にかけて整備された都と地方の国府を結ぶ幹線道路(七道)の一つでして、武蔵路は武蔵国府に至る東山道の支路で、古代道路跡として非常に学術上価値が高いものです。平成7年の旧国鉄中央鉄道学園跡地の調査では、約340mの道路跡が発掘されました。現在は右側の写真でわかるように、側溝跡や道路幅をアスファルト上に平面表記しているんです。


ツナギビト杉田:(ひそひそ話)伝道師、彼とは長い付き合いなんです。ちょっと大きめにリアクションしてみてください。


伝道師:了解。…340m!東京タワーとほぼ同じくらいの長さですね!それは大きいなぁ~!!


学芸員増井:おっ良いリアクション。では、本当はショートカットするつもりだったんですが、もう一つ面白い話をしましょう。ささ、こちらへ。


伝道師:ちょろいなこの人。

国分寺市立歴史公園史跡東山道武蔵路

学芸員増井:ここではなんと、古代の祭りに関わるものが出土しました。「久」という字を丸で囲んだ墨書土器が、合わせ口の状態で出土したのですが、これが道餐祭(みちあえのまつり)という古代の祭りの痕跡じゃないかと想定しているんです。道餐祭で祀る三神に「久那土(くなど)」という神様がいますからね。天然痘などの伝染病や、災いを運ぶ魑魅魍魎(ちみもうりょう)が国分寺の聖域に入ってこないよう、ここで防ぐ目的があったんです。


シュガーK:魑魅魍魎が律義に道路から入ってくるという考え方が面白いですよね。


伝道師:街が結界に守られている気がして、中二病ゴコロを刺激します(笑)

国分寺市立歴史公園史跡東山道武蔵路から約250m、国分寺薬師堂へ。


学芸員増井:皆さん、これを見てください。ここには88体の石仏が集められています。これはある場所を模したものになります。88か所といえば?

伝道師:四国!


学芸員増井:正解!四国の霊場巡りを模した石仏なんです。薄っすらとですが札所の番号や詠歌などが刻まれていることが確認できます。


伝道師:現地にわざわざ行かなくてもいいんですね!東武ワールドスクエアみたいなことですね。


ツナギビト杉田:長崎ハウステンボスみたいなことじゃないですか。


シュガーK:スパリゾートハワイアンズみたいなことだと思いますよ。


学芸員増井:………。

学芸員増井:あっ、これも見てください。これは薬師堂を支える柱なんですが、基礎となる石に合わせて柱の木が削られているのがわかりますよね?これは「ひかり付け」という技法で、このようにしっかり嚙合わせることで、地震にも耐えられるようになっているんです。


伝道師:宮大工さんの技術に心震えます!スーツケースも嚙合わせ大事ですからね、よくわかります。

年に一度のみ御開帳になる木造薬師如来坐像(画像提供:ツナギビト杉田さん)


学芸員増井:ここの一番重要なポイントは国の重要文化財にも指定されている木造薬師如来坐像です。平安時代末ごろの作で、高さ約190cmの像です。毎年10月10日のみ開帳が行われていますので本日は見れないんですが。


ツナギビト杉田:私が育った国分寺市立第七小学校の校歌に「古い歴史のこの国に 明日の栄えをきずこうと たゆまずはげむ 楽しさよ 輝け七小 国分寺」という歌詞があるんですが、この薬師如来坐像を初めて拝見したときにこの歌詞の意味を深く知れた気がしましたね。


学芸員増井:続いては国の指定史跡「武蔵国分寺跡」の金堂跡に向かいましょう。

通常だと西国分寺駅から徒歩15分程だが、ここまでですでに1時間半経過。


伝道師:広々とした場所ですね~。


ツナギビト:国分寺跡周辺はこうした広い場所が多いんです。今日は立寄りませんでしたが、駅近くにある武蔵国分寺公園は東京ドーム約2個分の広さがって、そこで食べる南信州下條村のムラノコメで作ったおにぎりは絶品なんですよ~。


伝道師:しっかり宣伝かましてきますね(笑)


学芸員増井:聖武天皇が仏教の力で国を安定させるために、諸国に国分寺の建立を命じたというのは説明がありましたよね。武蔵国では先程通った東山道武蔵路沿いの東に僧寺、西に尼寺というように配置されたんです。ここ武蔵国分寺跡は、僧寺金堂を中心に東西1.5km、南北1kmの範囲に及び、全国の国分寺跡と比べても規模が大きいんですよ。


伝道師:広っ!!天皇命令は絶対みたいなノリだったんですかね?


学芸員増井:諸国にとって造寺の負担は重く、全国的にも造営はなかなか進まなかったんです。そこで天皇は、国分寺の造営がなかなか進まないのは、監督していた国司(いまの都道県知事のような役職)の怠慢だとして、郡司(市町村長の役職)たちに造営の協力を求めるんですね。なんと、国分寺を完成させたら世襲を認めるなどの恩典を与えたんです。それで一気に造成が加速したんです。


伝道師:市長の役職が世襲できるなんて、それはみんなやる気だしちゃいますよね!


学芸員増井:光明皇后も私財を国庫に返上するなど、夫婦揃って仏教公布には相当な力を尽くしました。743年には、廬舎那仏(るしゃなぶつ)の造像も発願されますしね。いわゆる東大寺の大仏様です。


伝道師:会社でいえば、社長夫人が会社のために身銭を切る…なかなか考えにくいですね。それは凄い熱量だ。


シュガーK:夫婦でもお金の管理は別だったんですね。きっちりしてるなぁ。

金堂跡


学芸員増井:金堂は本尊仏を安置する建物です。桁行き約36m×梁行き約17mの礎石建物として建てられました。武蔵国分寺の金堂は、諸国国分寺中最大級の規模となります。


ツナギビト杉田:ここは数年前まではあまり整備されてなかったんですが、今はとても綺麗になったので、以前に来て素通りしてしまった方にも改めて見てほしいですね。ところで伝道師、こっちには鐘楼跡もあるんですけど、このイラストに注目してください。


伝道師:ん?イラスト?これがどうしたんですか?

ツナギビト杉田:これ実は増井さんがデザインしたキャラクターなんです(笑)


伝道師:©Almaって。なにやってんすか(笑)


学芸員増井:たまたま武蔵国分寺跡資料館を開館するときに、イメージキャラクターがほしいなって思って描いたキャラですよ!いいじゃないですか、ちょっとぐらい爪痕残したって!


伝道師:ふふ(笑) しっかし、聖武天皇の仏教愛って凄いですよね。


学芸員増井:愛というより苦悩の末だったと思います。聖武天皇の即位後、地震、凶作といった災いが起きました。そしてウイルスです。遣唐使が持ち帰ったといわれる天然痘が大流行し、権力の中枢にいた藤原四兄弟をはじめ、高官が次々と亡くなり朝廷が機能不全に陥りました。さらに光明皇后の甥である藤原広嗣が反乱を起こしました。


伝道師:光明皇后も焦ったでしょうね。あっ、だから私財を投入したのか!お金で解決!!


学芸員増井:天皇はそれを自分の責任だと思い悩むんですね。その後、度重なる遷都を行うのですが、仏教でなんとか国を立て直そう、国民に幸福をもたらそうと必死だったのではないでしょうか。


シュガーK:かなりのもやもやを抱えていたんですね。我々と同じじゃないですか。


学芸員増井:人間らしいですよねさて突然ですがクイズです!当時、日本の人口は500万人といわれていましたが、天然痘で何名くらいの方が亡くなったと思いますか?


伝道師:100万人!


学芸員増井:………正解。約50〜100万人といわれています。ていうか、1発で当てにくるスタイルやめてもらっていいですか?(笑)


一同:(笑)


国分寺の旅は後半戦へ


シュガー(地域と映像):いや~まだ折り返し地点ですけど、皆さんよく喋るから、もうスタートから2時間も経ってますよ!撮れ高もたっぷり、後で編集大変そうだな…。


シュガーK:久しぶりにしゃべったね(笑) 撮影お疲れ様です。後半は七重塔からお鷹の道へ向かいます。ここまでとは違う国分寺の自然を感じてほしいですね。


伝道師:まだ折り返しっすか?楽しすぎて時間を忘れてしまってました!後半戦も張り切っていきましょう!!


一同:おー!!!


ーもやもや散歩 後編へ続く!ー


【関連リンク】

スーツケースの伝道師の巣

【スーツケースの伝道師公式HP】スーツケースや旅の道具をこよなく愛するトラベルグッズのスペシャリスト、スーツケースの伝道師(さと)があの手この手で道具の魅力を発信します。テレビ、ラジオ、雑誌、イベントetc…基本なんでもやりますが、グラビアはごめんなさい!

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